【クリーニング店の親父】第1話:真面目な女子高生・宮本葵の制服
公開日: 2026年07月28日
夕方、冬休み前の最後だというのに、冷たい雨がぱらついてきた。
店の中は温風ヒーターをつけているが、奥の仕分け場の方までなかなか暖気が回ってこない。
カウンターの鈴がチリンと鳴り、俺はすぐ手を拭いて表へ出た。
「いらっしゃいませ……って、宮本さんか」
そこに立っていたのは、市立高校三年生の宮本葵だった。
いつも背筋がまっすぐで、黒いセーラー服をびしっと着こなしている。 学校では風紀委員だか図書委員だかを知っているが、俺にとっては、この街で一番きっちりとした女子高生だった。
「あの、冬用の制服をクリーニングにお願いしたくて」
葵は少し冷えた手で、ビニール袋に入れられた制服をカウンターの上に置いた。
伝統のある黒い冬用セーラー服。 白い三本ラインが入っていて、毎日ちゃんと手入れされているのが見てすぐにわかる。
「はいよ、冬休み明けには間に合うようにしとくからね」
「お願いします。……あ、お母さんから、急ぎじゃないから年明けで大丈夫って聞いてます」
「わかってるよ。しっかりやっとくから」
預かり伝票を書きながら、俺の目は自然とセーラー服の裏襟に釘付けになっていた。
そこには、白い絹糸で「宮本」と一針一針、丁寧に苗字の刺繍が施されている。 この一文字を見るだけで、頭の中でスイッチが入っちまう。
葵が店を出ていく後ろ姿を見送りながら、俺の心臓はもうドクドクと音を立てていた。
ついに、本人の制服が俺の手元にきた。 しかも、あの葵のやつだ。
裏の作業場に戻ると、俺はすぐにその制服を普通の洗濯物とは別の棚の奥に隠した。
今日の営業が終わるまでの時間が、やけに長く感じられた。
◇
夜十時。 シャッターを完全に下ろし、表の看板の電気も消した。
外はすっかり冷え込んでいて、ガラス窓がうっすらと白く曇っている。 俺は手洗いを済ませ、奥の作業机の灯りをつけた。
机の上にはノートパソコンが置いてある。
デスクトップの「M」というフォルダを開くと、中には何十枚もの画像が入っている。
市立高校のHPにある図書委員の紹介ページ、文化祭の表彰者一覧。 そこから「宮本葵」の名前を割り出し、見つけ出したインスタグラムの鍵付きアカウントから保存した写真だ。
画面の中の葵は、いつも通り凛とした顔でカメラを見つめている。
制服を着て図書室のカウンターに立っている写真、友達と笑い合っている日常のカット、そして少しプライベートな部屋での自撮り。
フォロワーは数人しかいないはずのその鍵垢の写真を、俺は毎晩のようにこうして眺めてきた。
「まじめな顔しやがって……」
画面をスマホにミラーリングし、すぐ手元に立てかける。
それから、棚の奥から例のビニール袋を取り出した。
ズシリと、ウール特有の重みがある。
広げてみると、長年着古された生地の重厚感と、ほのかな温もりがまだ残っているような気がした。
俺はまず、首元の裏襟に顔を近づけた。
ツンと鼻を突くのは、ただの洗剤の匂いじゃない。 毎日の通学でついた汗と、うっすらと香る制汗剤、そして葵自身の体臭が混ざった、生々しい生活臭だ。
すーっと息を吸い込むと、頭のてっぺんが痺れるような感覚が走る。
「くさくねえな……いや、いい匂いだ……」
上品な制汗剤の奥にある、あの年頃の女の子特有の甘酸っぱい匂い。
首元から脇のあたりにかけて、生地に顔をぐっと押し当てて何度も深呼吸をする。
ウールのざらざらした布地が鼻先や頬に当たり、それがかえってリアルな感触を伝えてくる。 今、この制服の中に葵の体が包まれていたんだという実感が、じわじわと腹の底からこみ上げてきた。
パソコンの画面を見る。
そこには、制服を着て真っ直ぐ前を見据える葵の顔がある。
目の前には、その葵が実際に脱いだばかりの制服がある。
俺はたまらなくなって、セーラー服の胸元を両手で掴み、自分の顔全体に覆いかぶせた。
外の寒さなんて完全に忘れていた。 作業場の中は、俺の荒い息遣いと、この服から立ち上る葵の匂いで満たされている。
「葵……お前なあ……」
誰にも聞かれない声で名前を呟きながら、俺はもう片方の手を自分のズボンへと滑り込ませた。
生地の重み、硬さ、そして使い込まれたウールの手触り。
首元の白い三本ラインを指先でなぞりながら、白糸で縫われた「宮本」の刺繍に親指を強く押し当てる。
パソコンの画面の葵と目が合う。
まじめな風紀委員の顔をしたあいつが、今夜は俺のこのみすぼらしい作業場で、こんなふうに弄ばれている。 そう想像するだけで、頭がどうにくなりそうだった。
「はあ……っ、はあ……」
鼻を押し付けているセーラー服から、さっきよりもはっきりと葵の匂いが伝わってくる。
動かす手がどんどん早くなり、胸の高鳴りが抑えきれなくなった。
パソコンの中の葵の笑顔が歪んで見える。 制服の布地を強く握りしめ、首元の部分に唇を押し付けて吸い込むように息を吸い続ける。
「もう……たまんねえ……」
頭の中で、葵の低い声や、店で対応してくれた時の冷たいような照れたような表情がぐるぐると渦巻く。
限界が近づき、俺はセーラー服を顔から離さないまま、大きく腰を跳ね上げた。
作業場の静かな部屋に、俺の荒い息だけが響く。
手元の黒い布地にしがみつくようにして、俺はそのまま何度も波が押し寄せるような感覚に身を委ねた。
だが、一度の絶頂では、胸の奥底にくすぶる粘着質な熱がどうしても消えなかった。
これだけでは足りない。 もっと深く、もっと彼女の気配そのものに溺れたいという衝動が、俺の理性を完全に焼き尽くしていく。
俺は乱れた呼吸をそのままに、机の上に広げたセーラー服を再び両手で掴み上げた。
先ほどよりもさらに強く、その身体のラインを思い描きながら、冷えたウールの布地を自分の剥き出しの肌へと引き寄せる。
「葵……見せてみろよ、そのまじめな顔を……」
スマホに映し出された、制服姿の葵の顔面をじっと凝視する。
画面の中の彼女は、凛とした眼差しでまっすぐにこちらを見据えている。 その誇らしげな視線のすぐ下に、俺の醜く汚れた手が這いずる。
俺はその写真を指でなぞると、セーラー服の胸元をぐっと開き、自分の顔全体をその内側に深く、文字通り埋め尽くすようにうずめた。
「はっ……あ……っ」
密着した瞬間、むせ返るような少女の体臭が鼻腔の奥を容赦なく突き刺した。
首元に残された微かな汗の酸っぱさと、上品な制汗剤の香りが混ざり合い、頭がくらくらするほどの麻薬的な匂いを放っている。
ただの布切れではない。 ここに葵の温もりが、肌の質感が、生きている証拠がそのまま残っている。
俺はその実感を貪るように、ぐりぐりと顔を布地に押し付け、何度も、何度も激しく鼻を鳴らして匂いを吸い込んだ。
「くそっ……いい匂いしやがる……こんな真面目な面して、裏ではこんなに男を狂わせやがって……!」
声を荒げながら、俺はセーラー服の脇のあたり、まさに葵の腕や脇腹が直接触れていたであろう内側の生地を、自分の頬や唇に擦り付けた。
ウールのざらついた摩擦が肌をヒリヒリと刺激するが、その痛みが逆に、今自分が葵の制服をめちゃくちゃに犯しているという背徳的な現実を強烈に脳に焼き付ける。
右手でスマホの画面に映る葵の頬をなぞりながら、左手はセーラー服の重い裾を掴み、自分の下半身の熱にしっかりと、隙間なく巻きつけていく。
冷たいはずの冬用の生地が、俺の体温でじわじわと熱を帯び、まるで葵自身が温かく俺を受け入れているかのような錯覚に陥った。
「葵、なあ、葵……っ!」
名前を呼ぶたびに、胸の奥の澱んだ欲望がドロドロと溢れ出す。
画面の中の葵は逃げない。 この狭い作業場で、彼女のプライドも、毎日のまじめな学生生活も、すべてはこの古びたクリーニング店の親父である俺の手の中にある。
その圧倒的な優越感と、込み上げる狂気が混ざり合い、視界が白く滲んでいった。
俺はもう理性も何もかもかなぐり捨て、セーラー服の首元にガバッと口を開けて噛みつくように顔を埋め、全身の力をその布地にぶつけた。
激しく擦り合わせる手の動きが限界を超え、全身の血管が引きちぎれんばかりに脈打つ。
「いっ……く……! 葵っ……!!」
喉の奥から絞り出した獣のような絶叫と共に、俺は文字通りすべてを吐き出すように、その制服の布地の中へと激しく絶頂を迎えた。
ドクドクと脈打つ熱が、葵のウールの制服を容赦なく汚していく。
荒い息をハァハァと乱し、崩れ落ちるように椅子にもたれかかった俺の腕の中には、俺の熱と執念でグチャグチャに汚された彼女の制服だけが、生々しく重く残っていた。